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モード(旋法)とは何か?

musical modes

旋法(以下、モードと呼びます)は、西洋音楽理論の基本的な構成要素の一部です。今まで音楽の先生からモードについてのお話を聞いたことがありますか?もし聞いたことがあれば、モードにはすべてギリシャ語の名前が付けられていることにお気づきかもしれませんね。音楽におけるモードは、音楽史の最も古い時代に由来しています。簡単に言うと、モードとは音階の一種であり、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の「ドレミの歌」のようなものです。「ドレミファソラシド」と歌っていますね。この音を1つだけずらすと、その音階をモードと呼ぶことができます。そして、それぞれのモードはそれぞれ独特の色彩と響きを持っています。

この記事を読めば、あなたが思っている以上に、実はモードについて多くのことを知っていることに気付くことでしょう。それでは始めましょう。

キーポイント

  • 西洋音楽には7つの主要なモードがあります。イオニアン・ドリアン・フリジアン・リディアン・ミクソリディアン・エオリアン・ロクリアンの7つです。
  • それぞれの音楽モードには、長調(メジャー)に聴こえるものもあれば短調(マイナー)に近いものもあります。また、それとは別に、少し楽しそうに聴こえるものもあれば悲しげに聴こえるものもあります。
  • 西洋音楽の多くがそうであるように、モードのルーツは教会音楽にあります。しかし今日では、映画音楽やオーケストラ作品からポップス、ロック、ジャズなど、幅広い音楽スタイルで使われています。

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音楽におけるモードとは?

音楽におけるモードとは、音階のようなパターンです。しかし、ルートだけでなく音階のどの音からも始めることができます。それぞれのモード(イオニアン・ドリアン・フリジアン・リディアン・ミクソリディアン・エオリアン・ロクリアン)には明確な特徴があります。これらのモードは西洋音楽の最も古い形態に由来しており、ほとんどすべてのモードは古代ギリシャまで遡ることができます。あなたがピアノを学ぶにつれ、モードはますます重要な役割を果たすようになるでしょう。

音階とモードの違いとは?

「音階(スケール)とモード」という言葉は、ピアノではほぼ同じ意味で使われることがありますが、実際にはもう少し複雑なものです。

ピアノの音階とは、 1オクターブ内にある音符を、ひとつの音程に沿って並べたものです。音程間の上昇または下降の関係が各音階を定義します。異なるピアノの鍵盤でも、この音程関係から各音階に移調することができます。さらに、音階上の音はメロディやハーモニーを形成します。

音階は、始点と終点を持っており、順序がある音符の集合です。たとえば、CメジャーはC(ド)から始まり、1オクターブ上のC(ド)で終わります。しかし、Cメジャースケールには7つの異なる音程があるため、メジャースケール上に7つの異なるモードを構築することが可能です。たとえば、「イオニアン」モードとしても知られるCメジャースケール(C – D – E – F – G – A – B – C)で、同じ音程を保ちながら、2番目の音階であるD(レ)から順番に始めると「ドリアン」という2番目のモードができあがります。(D – E – F – G – A – B – C – D)

音楽におけるモード(旋法)の歴史

モードは、メジャースケールやマイナースケールが作られるずっと前から存在していました。その起源は古代ギリシャです。モードはそれぞれの地域の名前にちなんで名付けられました。古代ギリシャのモードは、ここ数世紀に作られたものとは少し異なっていました。ミクソリディアンやドリアンなど、いくつかの名前は同じものですが、違う名前のもの(ヒポリディアンやヒポフリギアなど)もありました。古代ギリシャの哲学者であるプラトンやアリストテレスはモードについて書いており、それぞれのモードが別の雰囲気や性格を呼び起こすことを伝えています。

よくある誤解として「中世ヨーロッパの教会旋法は、このような古代ギリシャの旋法の直系の子孫である」というものがあります。チャーチモード(教会旋法)は9世紀に開発されたものです。チャーチモードは教会音楽、特に「グレゴリオ聖歌」として知られる音楽で多く使われました。時が経つにつれて、徐々にこのチャーチモードは半音階やダイアトニックスケール(ダイアトニックモードとも呼ばれる)にとって代わられることになりました。J.S.バッハの時代以降、ほとんどの音楽はCメジャー(=ハ長調)や、Dマイナー(=二短調)といった「調」で書かれていました。今日では特にジャズの分野で、モードは復活しつつあります。モードは非日常的で別世界のサウンドを生み出すことのできるのです。

メジャースケールの7つのモード

現代の西洋音楽には7つのモードがあり、それぞれの名前は古代ギリシャの地理的な地域に由来しています。それぞれの音楽モードは、特定の雰囲気や感情を呼び起こします。

イオニアン・モード

イオニアンはメジャースケールと全く同じです。ピアノで最初に習う音階のひとつがCメジャースケールですが、その音はすべて白鍵(C – D – E – F – G – A – B – C)となっています。つまり、Cメジャースケールを学んだ人は、すでにイオニアンモードを知っていることになります!

メジャースケールとまったく同じなので、ほとんどのポップソングはイオニアンで書かれていることになりますね。

Ionian mode

Ionian mode

ドリアン・モード

ドリアンは2番目のモードです。 Cメジャースケールの全音程(C – D – E – F – G – A – B – C )を、D(レ)から始めると「D – E – F – G – A – B – C – D」となり、これがドリアンモードの音になります。

たとえば、マイケル・ジャクソンの「スリラー」という曲はドリアンを使って書かれています。

dorian mode

Dorian mode

フリジアン・モード

フリジアンは3番目のモードです。このモードもナチュラル・マイナースケール(エオリアン・モードを参照)によく似ていますが、第2音の度数が長2度ではなく短2度である点が異なります。フリジアンモードを作るには、CメジャースケールのEから始めます。(E – F – G – A – B – C – D – E)

ザ・クラッシュの「ロンドン・コーリング」という曲はフリジアンを使っています。

Phrygian mode

Phrygian mode

リディアン・モード

リディアンは第4のモードです。Cメジャースケールの音程をFから始めて「F – G – A – B – C – D – E – F」と弾くと、リディアンモードになります。メジャースケール(イオニアン・モードを参照)とよく似ていることにお気づきでしょう。唯一の違いは第4音の度数で、リディアンモードでは完全4度ではなく、増4度です。

『ザ・シンプソンズ』のテーマ曲は リディアンを使用しています。

Lydian mode

Lydian mode

ミクソリディアン・モード

ミクソリディアンは第5のモードになります。これもメジャースケールによく似ていますが、第7音が(開始音から)長7度ではなく、短7度である点が異なります。ミクソリディアンモードを作る最も簡単な方法は、CメジャースケールのGから始めて「G – A – B – C – D – E – F – G」と弾くことです。ミクソリディアンモードは多くのコード進行、特にトニックとドミナントの間で使われます。そのため、非常に多くのポピュラー音楽で見られるモードです。

ガンズ・アンド・ローゼズの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」やビートルズの「ノルウェーの森」はミクソリディアンを使っています。

Mixolydian mode

エオリアン・モード

エオリアンは第6のモードです。一般的には、ナチュラルマイナースケールと呼ばれます。以下の例ではAから始まるので「Aナチュラルマイナースケール」になります。音符を見てみましょう。「A – B – C – D – E – F – G – A」という音で構成されていますね。マイナー(短調)で書かれたポップスの多くはエオリアンモードを使っています。もしあなたが作曲を始める場合は、エオリアンモードから始めるのがよいでしょう。

たとえば、Gotye の「Somebody That I Used to Know」や R.E.M.の「Losing my Religion」はエオリアンを使っていますが、その他にもたくさんの例が見られます。

Aeolian mode

Aeolian mode

ロクリアン・モード

ロクリアンは7番目のモードです。Bから始めて、Cメジャースケールのすべての音程を弾くと「B – C – D – E – F – G – A – B」となり、これがロクリアンモードになります。その特徴は第5音で、(開始音から数えて)減5度の音程を作ります。めったに使われることはないロクリアンモードですが、探求する価値のある謎めいた特徴を持っているモードと言えます。

ロクリアンで書かれたポップソングのめずらしい例のひとつとして、ビョークの「Army of Me 」が挙げられます。

Locrian mode

Locrian mode

ペアレントスケール:モードを見つけるには?

ここまでの説明と図表では「ペアレントスケール」を使ってモードを作る方法を示しました。ペアレントスケールについての厳密な定義は別の記事に譲りますが、ペアレントスケールというのは、ここでは「Cメジャースケール」のことを指します。

ペアレントスケールの番号さえ理解していれば、どんなモードでも作ることができます。

おさらいしてみましょう。「第1番-イオニアン、第2番-ドリアン、第3番-フリジアン、第4番-リディアン、第5番-ミクソリディアン、第6番-エオリアン、第7番-ロクリアン」でしたね。

各モードの構造を理解するためには、このペアレントスケールから考える必要があります。

ペアレントスケールを「Cメジャースケール」とする「Cミクソリディアン」はすでに説明しました。ここでは「Dミクソリディアン」を例に挙げてみましょう。ミクソリディアンは第5のモードでした。D(レ)は「Gメジャースケール」の第5音なので、これがペアレントスケールとなります。つまり、Dミクソリディアンは、単純にDで始まりDで終わる8音音階で、Gメジャースケールと同じ構造になります。(D – E – F# – G – A – B – C – D)

モードを使った有名な曲

数え切れないほどの有名な曲がイオニアン・モード(=メジャースケール)で書かれています。 ビリー・ジョエルの「Piano Man」はそのうちのひとつですが、他にもイオニアンを使った曲は Skoove アプリで無数に見つかります。

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エオリアン・モードはナチュラルマイナースケールと同じなので、ポップスやダンスミュージックにおいて、イオニアンの次によく使われるモードだと言えます。Skoove では、エイミー・ワインハウスの「Back to Black」でナチュラルマイナースケールの弾き方を学ぶことができます。

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ミクソリディアン・モードは、 ブルースを演奏する際に最適です。ミクソリディアンスケールは、 ドミナントセブンスコードを構成するすべての音を使います 。ドミナントセブンスは、 ほとんどのブルースコード進行(たとえばA7、D7、E7など )で使用されるコードのタイプです。このドミナントセブンスコードについては、 Skoove の「Bouncy Boogie」という曲にアクセスしてみてください。このレッスンの延長として、ミクソリディアンの音をいくつか取り入れることが可能です。

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ファットボーイ・スリムの「Praise You」もミクソリディアン・モードを使っています。 この曲についても、Skoove アプリで演奏方法を学べますので、ぜひお試しください。

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クラフトワークのヒット曲「Das Model」は、モードを組み合わせて曲が作られているので、実際に学んでみると本当に面白い曲です。 Skoove でこの曲も収録しています。 エオリアン・モードで始まり(メロディに「ファ」や「ファ#」はありません)、中間部でドリアン・モードに移行しています。ぜひ、じっくり聞いて弾いてみましょう。

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自分のピアノ演奏にモードを取り入れる

モードをより深く学ぶには、手元にキーボードがあるのが一番です。キーボードやピアノをお持ちでない場合は、バーチャルピアノを使ってみましょう。

ピアノでクラシックやポピュラー音楽を弾こうとしたことがある場合、あなたが思っている以上に、モードを弾いたことがある可能性が高いのです。バーチャルピアノでさまざまなモードを試し弾きしてみることで、モードがメロディの土台をどのように形成しているのか、また、それぞれのモードがどのような雰囲気を作るのか、より意識できるようになると思います。

さらにキーボードやピアノでモードを練習し、各モードの音符間の距離を理解できるようになれば、それぞれのモードが持つ特徴や雰囲気を意識できるだけでなく、今度はあなたの耳がモードに慣れていくはずです。

モード(旋法)は音楽の歴史のごく初期から存在しており、これにはそれなりの理由があります。特に教会音楽、クラシック音楽、ジャズ、そして一部の個性的なポップスにおいて、モードは多くの機能を果たしているのです。ぜひ今すぐ Skoove の無料トライアルに登録して、このモードの使い方と機能についてくわしく学びましょう!

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このブログ記事の著者

サム・ガーリングはドイツのミュンスターとニュージーランドのオークランドを拠点に活動する打楽器とピアノ教師・作家・研究者です。ニュージーランドおよびヨーロッパで幅広く演奏活動を行うだけでなく、音楽史や理論に関するテーマで講義を行い、学術論文や楽譜を出版しています。小学校から大学まで、さまざまな場面で音楽を教えています。

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